大人になるって、どんなことだったろう。『Saxophone Boys』の皆さんに委嘱のお話をいただいて、自分の頭に浮かんだのはそんな疑問だった。どことなく大人の遊びやカッコよさを感じさせる彼らと、よく考えるとあまり歳の離れていない自分と。自分がいつ大人になったか、なんて分かりもしない。まあ、自分は子供じみている、と恥じるわけでもないけれど。

ただ気が付けば、癖になっているな、と思うことはある。周囲に求められる自分の姿を意識して、そうと信じられるような自分として生きる。そんな癖だ。あとは、それもうまくいかない、夢見た通りにはならない毎日にいちいちうんざりしないことも。

大人ってそんなもんだよな、と思う。街を見れば、きっと大して勇敢でも聡明でもない誰もが、今日も大人の顔をして歩いている。自分だって臆病で怠惰で、それでも立派に表を歩けるんだから。そうして思い悩んだり躓いたりする毎日を、せめてポジティブに楽しめてこそだ。

『Lifestrider』というタイトルにはそんな思いを込めた。つまらなかったり、くだらなかったりする日常でも、ささやかな楽しみをたたえながら歩いていければいい。

Soprano Saxophone in B♭

Alto Saxophone in E♭

1st Tenor Saxophone in B♭

2nd Tenor Saxophone in B♭

Baritone Saxophone in E♭